2008年05月09日

あたしが母になった日。―その―

すぐ近くだけど陣痛の合間を縫って荷物をまとめて
移動するのがツラかった。

遂に初LDR。
やっぱり予備室と違い、部屋が広くてピンクの色調と
間接照明が落ち着く雰囲気だ。

でも難を言うと助産師が言った通りベッドが硬くて高く、
休める感じではなかった。

すぐに内診で進み具合をチェック。
子宮口4センチ開。
徐々に進むペースが早くなってきている。

「この分だと、産まれるのは早くて明け方かな。
 ホントはダメだけれど、メールでだったら連絡を取っても
 いいよ」

と助産師が言ってくれたので、すぐさま旦那へメール。
「用意が出来次第来て」と頼んだ。
そのくらいだんだん陣痛が半端なくなってきていた。

この頃の痛みの感じはもう鈍痛とかいう感じではなく、
下痢のような、腰とお尻に来る、息が詰まるような
シブい痛み。

だけど腹式呼吸でお腹を膨らますようにすると
まだ何とかやり過ごせる痛みだった。

でも何とか楽に耐えられる方法を見つけたい。

本で仕入れた情報でテニスボールをお尻に当てるのを
試してみたけれど、これは腸に来る痛みが出るし
四つん這いのポーズも腰の痛みを倍増させるだけだった。
そもそも、もう痛みのせいで思うように腰も伸ばせなく、
前傾姿勢が常になっている。

アクティブチェアーを試してみたが、
これも何だか落ち着かず。

結局一番いい体勢は横向き寝。
一番楽で一番体力を温存させやすかった。

立っているのも割と楽だったけれど、今のうちに
体力を残しておきたいのにこれは消耗が大きすぎた。

陣痛の間隔はやっぱり5分間隔。
もう大分疲れが来ているのか、陣痛と陣痛の合間には
強烈な眠気が襲ってくる。

とにかくそんな風な中でも部屋中ウロウロ、
ベッドでウロウロ、せわしなく動き回っていた。


1:00頃、旦那と母さん到着。
もう悠長な事を言えないほど激痛に変わっていた。

着くやいなや、旦那に腰をげんこつでさすってもらい、
母さんが呼吸を誘導しながら手を握ってくれた。

腰は強いマッサージほど、陣痛の痛みが楽になった。

助産師が様子を見に来てNSTの記録用紙をチェックし

「そろそろ元気なうちに点滴させてもらおうかな」

と血管を確保。
もうその頃には「好きにして」状態だった。

痛みはどんどん増す。
とにかく陣痛の波が来たら大きく呼吸を繰り返して
ひたすら耐え、引けたら多少の会話は可能でもぐったり…。

結局もう横になっていても痛みに耐える事ができなくて、
アクティブチェアーに突っ伏す姿勢を取っていた。

だけどNSTの機械がお腹と太ももの間に挟まり、
上手く赤ちゃんの心音を拾えず、母体の心音を拾う。
さらに腰を強くさすってもらう音が赤ちゃんの心音を
拾うのを妨げた。

助産師がその様子を見て、

「これじゃ正確に赤ちゃんの状態が判らないね。
 ちゃんとした状態が欲しいから、子宮口から直接
 赤ちゃんの頭に心音を拾う装置を付けてもいいかな?
 ちょっと赤ちゃんの頭には傷が付いちゃうんだけれど…」

「はい」とは言えなかった。
なるべくなら余計な傷を赤ちゃんに付けて欲しくない。
腰をさする強さを制限して、何とかNSTで乗り切る事にした。


時間感覚も既に判らなかった。

あんまりにも痛みが強くてどうしようもなくなった頃、
急に呼吸をするのが苦しくなる感じを覚えて、
いきなり気持ち悪くもないのに勢い良く床に吐いた。

「!!!」

皆ドン引きww
だけど出したあたしはすごくそれから呼吸が楽になった。
どうやらお腹の赤ちゃんが蹴ってたらしい。

床ぐっちゃぐちゃ…orz
助産師に片付けてもらうのに、

「…すいません…」

と力なく言う事しかできず。


もうこの頃には、陣痛の間のわずかな時には
喋る事もできないで、途中に何度か意識も飛び飛び。
次の陣痛の痛みで気付いて、慌てて呼吸に集中するなんていう
状態になっていた。

そしてわずか数回の陣痛の間に、自然と息みたい衝動に
駆られる変化がハッキリ自覚できた。

丁度タイミングよく様子を見に来た助産師に、

「息みたくなって来ました」

と伝えると、内診をして子宮口のチェックをするからと
旦那と母さんに部屋を出るように言った。

ベッドで仰向けになり、フットレストに足を乗せる体勢は
強い陣痛を呼んだ。

内診をした瞬間。

「!!!」

産まれてこの方感じた事のない、予想もつかなかった
ものすごい息みたい衝動に襲われた。
苦しい。

「あー無理っ!! もう息みたいっ!!!」

漏らさずには居られなかった。

「ハイ、力を入れないで、大きく呼吸して!!」

助産師が大きい声でパニくりそうなあたしに呼びかける。

とにかく下腹に勝手に力を入れたい本能が苦しくツラい。
それを理性で何とか呼吸のペースを保つ。
とにかくジッとしていられないし、足を力を入れて閉じたい。
初めて「拷問だ」と感じた、ものすごいパワーの本能。

「うん、子宮口全開大だ」

助産師が意気揚々と言った。

長かった。
だけど思ってたよりもずっと早かった。
ずっと待ってた、この時。
いよいよ大仕事に入れる喜びと安心を感じた。
もうすぐだ。


助産師が集まってきて、処置の機械や器具を運び入れ
分娩の支度を始めた。

ホッと安心したあたしは、アクティブチェアーに座りながら
次々に押し寄せる陣痛と息みを、座面にお尻を強く押し付けて
足を踏ん張りながら、ひたすらGOサインを待つ。

…けれど。

支度は済んでいるはずなのに待てど暮らせど
「GO」とは言ってくれない。

…まだかよ…。
早く…。

もう既に痛みよりも、息みたい衝動に耐える方が辛かった。

だけどさすがアクティブチェア。
呼吸と姿勢で、大分地獄のような痛みと衝動を逃がしてくれている。

とにかく大きく息を吸い、「ふー…」と長く吐く。
母さんも助産師もそれを誘導すべく、大きな声で呼びかけ、
それに助けられる。

たまにホント、パニくりそうになったり、
飛んでしまいそうになる意識。


「よし、じゃあベッドに上がりましょう」

やっと言ってくれた…その一言…。
待ってました…。


―そのい悄









suilove9214 at 22:50コメント(0)トラックバック(0) |  

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