2008年05月14日

あたしが母になった日の事。―そのぁ

 
遂にベッドが分娩台になった。

母さんが

「もうすぐだよ。
 あともう少しで会えるからね」

と励ましてくれた。

…ただ、分娩台としては全然適度な物にならなかった。
足のレストの角度は合わないし、グリップがいい位置になく、
ベッドの手すりをグリップ代わりにするしかなかった。

…意外と使えないんだなぁ…LDR。


分娩台に変身したベッドに分娩スタイルを取らされる。
自然と息みやすい姿勢なだけにものすごくツライのに、
助産師は

「まだ息んじゃダメよ、大きく吸って、吐いて…」

まだ逃がせと言う。


息みたい本能の衝動と、頭が降りてくる圧迫感が
痛みと一緒に津波のように来るのに飲まれそうになる。

腰から下に赤ちゃんを押し出そうとする力と、
それと一緒に赤ちゃんが強く下りようとする力。

これを耐えるのはただただ拷問だ。

一瞬正気を失いかけて何をか口走った記憶。

すぐにみんなが揃って呼吸へと導いてくれて、
何とかパニックから救ってくれる。

…ツラい。
お腹に力を入れたくて入れたくて仕方ない。

身をよじるくらいしかもう許されない状況。
待たされているこの時間がとにかく長く感じた。
口に、

「早く〜…」

と出さずにいられなかった。

息まずにいる我慢に限界を感じた頃、
戻った助産師に

「もう無理です」

と伝えた。
するとやっと助産師が

「じゃあ、次の陣痛が来たら息んでね。
 硬い便を出すような感じで、グリップをしっかり握って
 足を踏ん張って、おへその方を見るようにしっかり
 息んで」

と指示された。

もう我慢しなくていい。
後は出すだけだ。
もう少し。
もう少しで終る。

「赤ちゃんに酸素をあげようね。
 はい、すー、はー…」

と呼吸を整えるように指示される。

息みを許されると今度は陣痛が待ち遠しい。
きっと陣痛の間隔は1分もなかったんだろうけれど、
ものすごく長い時間のように思えた。

その間に呼吸を整える。

…来た。
助産師に告げた。

「吐いて、吸って、長く息んでー…」

合図に乗って息んだ。
ホントにホントに待ちに待った瞬間。
もう痛みもツラさも感じない。

…のはいいのだが。

一体どの程度の力で息めばいいのか。
一瞬力いっぱい息む事を恐れて、躊躇した。

1回目。余力を残しながら、探り探り息む。

どの方向にどのように息めばいいか、すぐに身体で判った。
…が、こんな力じゃ全然押し出せる気がしなかった。

完璧ナメてた。
これは本気でかからないといけない。
ふざけた事をしたら、ホントに長期戦になる。


次の陣痛を待つ。
赤ちゃんの心音が機械を通して響くのを聞きながら。

「コツは掴めてるから、それを繰り返していくよ。
 赤ちゃんも元気に頑張ってるからね」

助産師が励ましてくれる。

「頑張れ…」

願うように口にした。



2回目は全力で息んだ。

もう血管でも何でも切れたらいいし、
何ならいっそ痔でも腸でも出ればいいさ。

そんな勢いでとにかく全力で腹圧をかけた。
呼吸を止めていられる限界の少し前で、助産師が
息みを止めるよう指示する。

体内では明らかにもう腹よりも下、腰の中で
力をかけられている赤ちゃんが動き出すのが鈍く判る。
腰が砕けるような感覚。

もう汗だく。
母さんが濡らしたタオルで汗を一生懸命拭いてくれる。

息が苦しい。
ツライ。
酸素が欲しくて口を大きく開けて呼吸するが、
すぐに呼吸は直される。

「鼻で吸って、口で『ふー』だよ」

と。


助産師と母さん、旦那の誘導に冷静さを取り戻し、
呼吸を整えて次の陣痛を待つ。

3回目。

吐いて吸って思いっきり息む。
目眩がするほど息む。
キツイ痛みが伴うけれど、衝動が後押ししてくれる。

「赤ちゃん大分下のほうまで下がってきたよ」

と教えてくれて、息みを止めて呼吸するよう言った。
でもまだ陣痛は残っている。

「もう1回息めそうです」

「それじゃ、もう1回行こう」

再び息む。
腰の中がもういっぱいいっぱいの圧迫感。


陣痛と陣痛の間、息み待ちのわずかな時間は、
あたしの呼吸の音と赤ちゃんの心音だけで、
みんなじっと様子を見守る。

じっと呼吸をしていると、赤ちゃんの心音が徐々に
元気に大きく響いてきた。

「ほら、こんなに赤ちゃん元気だよ。
 ちゃんと酸素行ってるからね」

そうだ、あたしも頑張ってるけれどあたし一人だけじゃない。
この子も頑張ってるんだ。
拙く呼吸してるのに、この子はちゃんとその酸素を受け取って
力強く出てこようとしている。

負けるな、あたし。
頑張れ息子よ。

次こそは必ず出す。


次の陣痛。
全力の途中で恥骨が軋んだ。
これは激痛。
息んで止めている呼吸の間から、声が漏れる。

それと同時に助産師が開いているのか、
この人が押し通る為なのか、肉が引き攣れる
鮮やかな痛みがあった。

「ぐっ…痛ぁ…!!」

言葉に出た。

「はい、力を抜いて楽にして」

排臨だとすぐに判った。
息みたい衝動が一気に少なくなった。
何かものすごい大きい物が挟まってる感がある。
お腹の痛みが引けた替わりに、明らかに傷らしい
痛みがその部分にある。

さっきから他の助産師が内線電話で連絡を取っている。
多分Dr待ちなんだろうけれど、
電話に出なかったらしくて軽く焦ってる雰囲気。

どうやらそんな事をやっている間に、赤ちゃんの頭が
中に戻ってしまったらしい。
このまま留めておけない、もう産まれてしまう状況だと
助産師が判断したらしく

「うーん、いいかな。
 うん、じゃあちょっともう1回息みましょう」

と指示。

陣痛はないけれど、息めるだけ思いっきり息んだ。

するとそんなに力がかからないうちに、
スルリと身体が軽くなる感じが。

「あぁ、産まれた産まれた!!」
「はい産まれました〜!!!」

一気に沸いた。
母さんの涙声の歓声に、助産師の声。

それと同時に自分の足の間から
助産師に取り上げられた真っ赤に染まった
赤ちゃんが見えた。

へその緒をぶら下げて、しわくちゃな顔をしている子。

すぐさま助産師がチューブで鼻と口から吸引している
音が聞こえ、やっと産声を上げた。

鮮やかな活き活きとした、必死な泣き声。
確かにわが子が降り立った証。

それを確認できた瞬間にあたしの緊張感も解けて
一気にこみ上げる気持ちが押し寄せた。
やっと終った安心感、そして大きな喜び。

いい大人なのに大泣き。

やっと会えた。
そうか、しわくちゃの君がそうだったのか。
エコーで初めて会った時、陽気に踊ってたね。
元気よすぎるくらい、痛いほどお腹を蹴ってたね。

そうか、君だったのか。
良く頑張った、ね。
良く来たね。


身体を拭かれたその子を助産師が私の胸に乗せた。
まだふやけていて、ホカホカ。

ずしりと重い。
産まれたての肌の弾力。
手足を動かす力強さ。

確かな命の密度を感じた。

はるか遠くから命を受けてやってきてから10ヶ月。
私の体内でしっかりと命を育んで、やっと出会えた奇蹟。


全てに感謝の想いだった。
この子にも。
この子を一緒に授かった旦那にも。
私を産んでくれた母にも。


幸せだ。
こんな感動2度とない。

命を産めた喜びは、どんな感動よりも大きかった。



―そのイ悄

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2008年05月09日

あたしが母になった日。―その―

すぐ近くだけど陣痛の合間を縫って荷物をまとめて
移動するのがツラかった。

遂に初LDR。
やっぱり予備室と違い、部屋が広くてピンクの色調と
間接照明が落ち着く雰囲気だ。

でも難を言うと助産師が言った通りベッドが硬くて高く、
休める感じではなかった。

すぐに内診で進み具合をチェック。
子宮口4センチ開。
徐々に進むペースが早くなってきている。

「この分だと、産まれるのは早くて明け方かな。
 ホントはダメだけれど、メールでだったら連絡を取っても
 いいよ」

と助産師が言ってくれたので、すぐさま旦那へメール。
「用意が出来次第来て」と頼んだ。
そのくらいだんだん陣痛が半端なくなってきていた。

この頃の痛みの感じはもう鈍痛とかいう感じではなく、
下痢のような、腰とお尻に来る、息が詰まるような
シブい痛み。

だけど腹式呼吸でお腹を膨らますようにすると
まだ何とかやり過ごせる痛みだった。

でも何とか楽に耐えられる方法を見つけたい。

本で仕入れた情報でテニスボールをお尻に当てるのを
試してみたけれど、これは腸に来る痛みが出るし
四つん這いのポーズも腰の痛みを倍増させるだけだった。
そもそも、もう痛みのせいで思うように腰も伸ばせなく、
前傾姿勢が常になっている。

アクティブチェアーを試してみたが、
これも何だか落ち着かず。

結局一番いい体勢は横向き寝。
一番楽で一番体力を温存させやすかった。

立っているのも割と楽だったけれど、今のうちに
体力を残しておきたいのにこれは消耗が大きすぎた。

陣痛の間隔はやっぱり5分間隔。
もう大分疲れが来ているのか、陣痛と陣痛の合間には
強烈な眠気が襲ってくる。

とにかくそんな風な中でも部屋中ウロウロ、
ベッドでウロウロ、せわしなく動き回っていた。


1:00頃、旦那と母さん到着。
もう悠長な事を言えないほど激痛に変わっていた。

着くやいなや、旦那に腰をげんこつでさすってもらい、
母さんが呼吸を誘導しながら手を握ってくれた。

腰は強いマッサージほど、陣痛の痛みが楽になった。

助産師が様子を見に来てNSTの記録用紙をチェックし

「そろそろ元気なうちに点滴させてもらおうかな」

と血管を確保。
もうその頃には「好きにして」状態だった。

痛みはどんどん増す。
とにかく陣痛の波が来たら大きく呼吸を繰り返して
ひたすら耐え、引けたら多少の会話は可能でもぐったり…。

結局もう横になっていても痛みに耐える事ができなくて、
アクティブチェアーに突っ伏す姿勢を取っていた。

だけどNSTの機械がお腹と太ももの間に挟まり、
上手く赤ちゃんの心音を拾えず、母体の心音を拾う。
さらに腰を強くさすってもらう音が赤ちゃんの心音を
拾うのを妨げた。

助産師がその様子を見て、

「これじゃ正確に赤ちゃんの状態が判らないね。
 ちゃんとした状態が欲しいから、子宮口から直接
 赤ちゃんの頭に心音を拾う装置を付けてもいいかな?
 ちょっと赤ちゃんの頭には傷が付いちゃうんだけれど…」

「はい」とは言えなかった。
なるべくなら余計な傷を赤ちゃんに付けて欲しくない。
腰をさする強さを制限して、何とかNSTで乗り切る事にした。


時間感覚も既に判らなかった。

あんまりにも痛みが強くてどうしようもなくなった頃、
急に呼吸をするのが苦しくなる感じを覚えて、
いきなり気持ち悪くもないのに勢い良く床に吐いた。

「!!!」

皆ドン引きww
だけど出したあたしはすごくそれから呼吸が楽になった。
どうやらお腹の赤ちゃんが蹴ってたらしい。

床ぐっちゃぐちゃ…orz
助産師に片付けてもらうのに、

「…すいません…」

と力なく言う事しかできず。


もうこの頃には、陣痛の間のわずかな時には
喋る事もできないで、途中に何度か意識も飛び飛び。
次の陣痛の痛みで気付いて、慌てて呼吸に集中するなんていう
状態になっていた。

そしてわずか数回の陣痛の間に、自然と息みたい衝動に
駆られる変化がハッキリ自覚できた。

丁度タイミングよく様子を見に来た助産師に、

「息みたくなって来ました」

と伝えると、内診をして子宮口のチェックをするからと
旦那と母さんに部屋を出るように言った。

ベッドで仰向けになり、フットレストに足を乗せる体勢は
強い陣痛を呼んだ。

内診をした瞬間。

「!!!」

産まれてこの方感じた事のない、予想もつかなかった
ものすごい息みたい衝動に襲われた。
苦しい。

「あー無理っ!! もう息みたいっ!!!」

漏らさずには居られなかった。

「ハイ、力を入れないで、大きく呼吸して!!」

助産師が大きい声でパニくりそうなあたしに呼びかける。

とにかく下腹に勝手に力を入れたい本能が苦しくツラい。
それを理性で何とか呼吸のペースを保つ。
とにかくジッとしていられないし、足を力を入れて閉じたい。
初めて「拷問だ」と感じた、ものすごいパワーの本能。

「うん、子宮口全開大だ」

助産師が意気揚々と言った。

長かった。
だけど思ってたよりもずっと早かった。
ずっと待ってた、この時。
いよいよ大仕事に入れる喜びと安心を感じた。
もうすぐだ。


助産師が集まってきて、処置の機械や器具を運び入れ
分娩の支度を始めた。

ホッと安心したあたしは、アクティブチェアーに座りながら
次々に押し寄せる陣痛と息みを、座面にお尻を強く押し付けて
足を踏ん張りながら、ひたすらGOサインを待つ。

…けれど。

支度は済んでいるはずなのに待てど暮らせど
「GO」とは言ってくれない。

…まだかよ…。
早く…。

もう既に痛みよりも、息みたい衝動に耐える方が辛かった。

だけどさすがアクティブチェア。
呼吸と姿勢で、大分地獄のような痛みと衝動を逃がしてくれている。

とにかく大きく息を吸い、「ふー…」と長く吐く。
母さんも助産師もそれを誘導すべく、大きな声で呼びかけ、
それに助けられる。

たまにホント、パニくりそうになったり、
飛んでしまいそうになる意識。


「よし、じゃあベッドに上がりましょう」

やっと言ってくれた…その一言…。
待ってました…。


―そのい悄









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あたしが母になった日の事。―その◆

家を出て30分、無事に病院に到着。

「頑張って元気な子を産んでね」

と荷物を降ろしながら、タクシーの運ちゃんから
熱い激励を貰う。

ガラガラガラガラ…。
夕方の空いたロビーにあたしの引くトランクの音が
響き渡る。
やっぱりその間にも、体内から大量に出て行くものが。

なるべく胸を張って歩く意識が働く。

緊張、期待、不安、動揺…なのかな。
恐怖はあまり感じなかった。
それらを抑える理性。

何故か軽く震え。
色んな感情を含んだ心が身体を震わせたのかも知れない。


エレベーターで4階の病棟へ。
ナースステーションで名前を言い、母子手帳を預けると
看護師が先に立って分娩室へと案内された。

病棟の方は赤ちゃんの鳴き声やナースコール音で騒々しい。
そんな廊下を奥へ奥へと行くと、分娩室がある。
妙に薄暗く、静か。
だけど中は確実に静けさの中にも、誰かが闘ってる空気があった。

すぐに助産師が出てきて、尿検査と問診を受けた。
その後、内診を受ける為に分娩台へ上がるように指示される。

…おおお、分娩台はこういう風になっているのか…。

初めて上がる分娩台にちょっとビビる。
自然に力が入るその作りに、内診台にはない迫力があった。

そのせいか、半端じゃない量の羊水がダーッと流れ出した。
…こんなに出ちゃって大丈夫なんだろうか…。
もう既に「何リットル出たんだろう?」という感覚。

助産師が、

「うん、破水だね。中の上の方から破膜している状態。
 で、子宮口は1センチ開。まだまだ赤ちゃんは降りてきてないね」

と教えてくれた。

内診が済んで入院着に着替えると、LDR室の近くにある
「予備室」に通された。
2床あって、そのうちの1床には既に先客が。

ベッドに荷物を降ろすやいなや、あれよあれよと
お腹にNSTの装置を付けられ、破水してるから感染防止の為に
抗生物質を服用するように錠剤を渡された。

「多分ね、今日中には産まれなさそうだから、
 お産が進む状態になるまでここで様子を見ていくから。
 明日点滴で陣痛を付けていく形になると思うよ」

…マジかよ…。
じゃあこのお腹の軽い鈍痛は一体何なんだ??
聞いてみた。

「お腹が張ってるのと一緒に軽く重だるい痛みが
 あるんですが、これは陣痛ではないんですか?」

すると助産師は笑いながら、

「まだまだ!! そんなもんじゃないから!!
 ホントに陣痛が付いてきて始まったらそんな余裕ないからね」

そう言い残し、足早に出て行ってしまった。


…えーと。
あたしは一体今どんな状態になっているんでしょう??
このお腹の鈍痛は陣痛じゃないって事??
破水しているけど、お産が始まってる訳じゃないって事??

様々な謎をぶつける相手を失い、ポチーンとベッドに
置かれちゃってるあたし。

それからしばらくしてずっと診て貰ってた担当医が

「やぁ、思ってたより早くて良かったねぇ」

なんて笑いながら登場。

「これからここで様子見てもらってね、明日の朝9時から
 陣痛促進剤の点滴投与を始めるから。
 それで陣痛付けて、自然分娩っていう形に持っていけると思うけどね。
 いざって時は帝王切開で出す事もあるかも知れないからね。
 ま、大丈夫だと思うけれどね、それは状態と相談して、ね。
 んーとだから、どっちにしても産まれるのは多分明日の夜くらいかな。
 それじゃ、頑張ってね」

説明の内容に頭がボーゼンとしてしまったせいで、
また質問の機会を逃したあたしは愚か者。

だって想定範囲外の状況が多すぎなんだもの。

そもそも破水から始まった事で、巷の話からサクサクと
お産が進むだろうと勝手に思ってた。
これからすぐに劇的に陣痛が来て産まれるだろうと。

ホントに陣痛促進剤を使わないと陣痛は来ないの??
明日の夜って、今のあたしはそんな長い間お産が進まない状況なの??
そしてLDRで分娩の筈だけれど、一体いつまでこの
「予備室」なんていう、サブ的なトコにいなきゃならないの??

何にも見えてこないハテナだらけの状況。
始まってるのかどうかすら判らない。
でも助産師も医者も長期戦だと言っている。

…うんざりだなぁ…。
意気消沈。

さて17:00にこの予備室に来た。
一応陣痛じゃないらしい痛みと張りの記録をし始めた。

17:35。
今までよりも強めの痛み&張りに変化する。
5分間隔。
…でもこれは違うんだもんね…orz

18:00過ぎに母さんが興奮しながら到着。
大量にお茶やおにぎり、パンとかを差し入れてくれた。
状況を教えると、ずっといる訳にいかないけれど、
帰るにもこの天候に自宅と病院の行き来が危険だし、
どう判断しようね…と悩んだ。

そんな会話をしながらも時間が進むにつれ、
5分おきに来る波にちょっと黙る痛みへと変化していく。

今のうちに…ときちんと食事を摂る事にした。


19:30、今度は旦那が到着。
ちょうど来た時にトイレに立ったけれど、歩くのが辛かった。
波が来る毎に立ち止まって何かにつかまりながらやり過ごす。
…でもこれは陣痛じゃないんだもんね…orz
相変わらず動くたびに羊水が。

旦那は制服からジャージに着替えた。
明らかに旦那からは意気込みを感じる。
一方服装が厚着だった母さんは、この暑い病室でお産立会いは
キビシイと一旦帰る判断をした。

旦那と会話をしながら、痛みの記録は欠かさなかった。
5〜10分間隔の痛みはさらに増して、
波が来ている時には身体が緊張して、深呼吸で耐えるほどになっていた。
…でも、これ、違うんでしょ…orz


20:30過ぎに助産師がNSTの記録チェックと
内診をしに来た。

やっぱり進んでなく、1センチ開。
ここで助産師から、

「まだまだ進みそうにないね。
 長時間になるし、お隣に患者さんもいるから、
 旦那さんには1度帰宅してもらって、お産が進みそうに
 なったら連絡を入れるようにするから」

と旦那に消灯前に帰宅するよう促した。

止む無く旦那、21:00に帰宅。
病室内の蛍光灯も消え、明かりは枕もとのライトだけ。

まさか独りにされるなんて…orz
立会い出産だから、入院から出産まで家族が帰されるなんて
ないと思ってたのに…。

思いっきり不安になってしまった。

そんなあたしの横でNSTの機械はロール用紙に
じゃんじゃんとお腹の状態をグラフにして記録している。

痛みの波とグラフを見比べてみる。
やっぱりグラフの数値も少しずつ大きい数字を
記していた。


22:20頃、内診。
痛みもかなり押し寄せていた。
子宮口3センチ開。
進みがやっぱり遅いみたい。

身体が痛みのせいでかなり緊張し、常に力んでいる。
その様子を見て、助産師に

「身体に力が入ってると進みづらくなるからね」

と言われた。

とにかく痛みが来たら大きく呼吸してリラックスする
事に集中するよう心がけた。

そしてさらに助産師はNSTの記録紙を見て、

「陣痛が強まってきてるようだから、もう少し進んだら
 LDRへ移りましょう。
 でもね、こっちのベッドの方が休むには快適だから
 今のうちに身体も休めておくようにね」

と言った。

…!!
今『陣痛』って言った!?
この痛みの事、『陣痛』って??
やっぱりそうでしょう!?
さっき一笑にふしたクセに、
あっさりと『陣痛』だと認めるじゃないか…orz

不安が確信に変った。
お産が少しでも進んでいる事に希望が見えてきた事が
すごく嬉しかった。
俄然耐える気が湧いてきたぞ。

旦那にメールでその事を報告。
了解の返事を貰う。


5分おきくらいの間隔の『陣痛』とひたすら無言の闘い。
だけどこれは『陣痛』だ。
進んでる証だ。
前向きに捉え、ひたすら大きな呼吸で耐える。
痛みがある時はどうしても力んでしまうけれど、
痛みが引けた時はなるべく深呼吸をしてリラックスに集中。

23:20。

深呼吸とリラックスが功を奏したのか、
この頃には既にお隣の休息に邪魔にならないように
静かにしている事は出来なかった。
どうしても波のピークには、小さくも呻かずにはいられない
痛みになっていた。

様子を見に来た助産師に

「そろそろ静かにしてるのがツラくなってきました」

と告げた。

するとすぐ、

「あ、じゃあ今のうちにLDRに移っちゃいましょうか」

とあっさりLDRへ案内してくれる事となった。


―そのへ―





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2008年04月26日

あたしが母になった日の事。―その 

4月2日。

あたしは遂に自分の「あたし」から、
息子のいる「あたし」になった。

息子が産まれるのと同時に、あたしも生まれ変わった日。


その日の事を忘れたくない。
一生に一度の事だから。
ゆっくりではあるけれど、ここに記しておきたいと思う。
ずっと前からそうするつもりだった。

ここで静かに独り言として。

ゆっくり口を開いていきたい。




*:..。o○☆゚+。*゚¨゚゚・*:..。o○☆゚+。*゚¨゚゚・*:..。o○☆゚+。*



さかのぼって2日前の3月31日。
この日が出産予定日で最後の妊婦検診の日だった。

いつもの通り検診を受け、エコーで見る息子は相変わらず元気。
内診の結果、子宮口は1cm開いているものの降りてきておらず。
NSTの結果も、定期的なお腹の張りはあるものの、
まだまだ陣痛には遠いとの事。

38週、39週の検診では、全く産まれる兆候の無い事に
がっかりしたけれど、この日はもう

「あとはこの人のタイミングを待つしかないなぁ」

って感じになった。

さすがに先生は、40週を一週間様子見してみて
産まれないようだったら、来週の今日から入院して
陣痛促進剤を使って陣痛を付け、出産を呼ぶ事にするとの診断。

診察を終えてから看護師から説明があり、
一週間後の入院の予約と書類を受け取った。

陣痛促進剤を使うのは不安だった。
出来れば自然な形で出産が来たらいいなぁ…と願いながら
旦那と病院を後にし、のんきに31アイスのクレープなんかを
食らいにポスフールへ出かけた始末ww

…内診後から猛烈に強い張りを感じ始めた
お腹を抱え、歩くのに相当なつらさを感じながら。
でもね、
「お腹の張りは、本番はこんなもんじゃないからねぇ」
なんて看護師さんが言ってたしね。
「つらいけどこのくらい問題ないでしょ。
 まずは出産を呼ぶために動かなきゃ、歩かなきゃ」

産まれてからはきっとしばらく31のクレープなんて
食べられないんだしなんて感じで。

結局その日は、お腹の張りが強いままだった。


次の日、起きてみたら天気は大荒れだった。
明け方あたりから強い風が吹いてそうな音が聞こえてた。
外を見たら、久しぶりの白銀の世界。
しかも横殴りの風に乗った雪で、視界がとても悪かった。

何の気なしにお手洗いへ。
すると今までになかった多めのおしるしが付いていた。

「…。」

何となく感じる物が無いわけじゃなかった。

母と旦那にそんな話をしてみると、

「まさかねぇww」
「こんな低気圧の荒れた日に限ってあるかもよぉww」

なんて期待やら、半分「ネタだろ」的な意見が。

でもね、あたしの事です。
こんなネタみたいな事が起きるのがあたしの生き様ですww
どうなるやら…。

そんな気配だから、朝から洗濯やらアイロンがけやら
夕飯のカツの仕込みやらをサクサクとこなす。

期待外れになるかも知れなくても、
いつ何が起きてもいいように。

「あたしの準備はいつでも万端だ」
そう、多少なりとも感じている動揺を見せない為に。
自分自身にも冷静を与えるように。

体調は股関節痛と恥骨あたりや腰の痛みが半端なく、
もう大分前から立つ、歩くは辛くなっていた。
それは変わりなし。
ただ昨日からの強い張りと、時々「痛い?」と思うお腹。
生理痛のような、下っ腹に来る鈍痛。
でもおしるしは止まって来ていた。


お産が怖いわけじゃない。
だけど怖くないと言ってもウソになる。

喜びと期待がきっと80%。
あとの20%はマイナー要素の諸々。

でもそんな計算は考えない。
どうだっていい。
流れに逆らわずに受け入れるだけの事だ。
いつだって、産む日の事をそう考えてここまで来た。
ここまで来たってそういう事。


昼になり、家事を一段落つかせてmixiをUP。
念のためにシャワーも入っておいた。
そして横になって身体を休めながらTVを見たり、
昼間1度仕事で近所まで来て、家に寄った旦那と
昼食を摂ったりして過ごす。

この頃あたりからさらに強いお腹の張りと供に、
定期的な弱めの痛みを確実に感じ出す。
時間計測にして40分〜20分おき。
徐々に間隔は狭まりつつあった。

なるべくリラックス&体力温存を意識。

15:00。
毎日欠かさず見てた、ドラマ「大奥」の再放送を見てた。
この日は最終回。
段々間違いなく繰り返す張りと痛みを感じながら、

「始まるなら、お願いだからこれを診終わってからにしてっ」

なんて思ってたあたしエラーかもwww

ドラマが進むにつれ、間隔も徐々にじわりと縮まる。
TVに目を奪われつつも、お腹の痛みに合わせて見上げる
時計にも目を凝らす。
15分〜10分おき。

そしてドラマがエンディングでスタッフロールが流れ、
最後のワンシーンを迎えた所で異変が。

「…!?」

尿漏れっぽい、だけど明らかに尿じゃない温かい物が
じわーっと出て来るのを感じた。
すぐに確認してみると、おしるしのような茶褐色の血が混じった
多い日よりも多めの量の少しとろみのある液が、
流れ出てきていた。

「…破水だ」

経験のないあたしでもすぐ判った。
きっとおしるしと混じった破水だと思った。

それからのあたしの動きはテキパキとロボのようだった。

まずは出かける為の着替え。
それから軽く部屋を片付けて、準備してた入院の為のスーツケースを
玄関先へ運んだ。
その間にもどんどんそれは流れ出てくる。

病院へ電話を入れ、状況を伝えた。
すると直接病棟へ入院準備をして来て下さいと指示。

それを受けて旦那に電話を入れた。

「破水したみたいだから、これから病院に行くね」
「マジ!? 仕事ですぐには行けないけれど、終ったら行くから」

そして母にも電話を入れたら、

「仕事が終ったら行くから、頑張って」

と激励。


呼んでおいたタクシーが着き、遂に病院へ。
真っ白に吹雪く外へ出た。

タクシー運ちゃんのおっさんが、産気づいている旨を
伝えると経験談を振ってきて、道すがら話は耐えなかった。

そんな中、悪天候による悪路のせいで車が揺れる。
その揺れに合わせて、じゃんじゃん羊水が流れ出る。

…おいおい、こんなに出て大丈夫なのかよ…。

ふと窓の外の白銀の街中に目をやると、
あちこちでトラブル車だらけ。
でかいトラックとトラックが凹んだボディをさらして
車線をふさいでいる。
もうちょっと行くと、今度は滑ってスピンした車。

何と幸先の悪い光景だ…orz
軽くドン引き。

お願いだから事故だけはやめてくれ。
車の中でお産はしたくないぞww

産気づいた妊婦を乗せたタクシーは、回り道をしながらも
春先に機嫌を損ねた天候の中、ガタガタボコボコ確実に進む。


―その△悄


















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2008年03月25日

うそばかり。


本当はきっとうそばかり。

あたしの耳に入ってくる
あたしの目に映り込む

その幾ばくかじゃなくほとんどが


うそばかり。
うそばかり。


もう子供じゃないから
それをウソかホントか確かめるなんて
ヤボな事はしないけれど

だけど確かめ隊。
あたしは元々そういう人種。

だけど確かめてみたら
失望する事の方が多いのを
経験で知ってるから
確かめる事をしないだけ、この頃は。


うそばかり。
うそばかり。


どうしてうそばかり吐くのだろう。

本当はそんなウソで喜ばない事くらい
知ってるでしょう。

本当はそんなウソはすぐ判るって事くらい
知ってるでしょう。


なのに。

うそばかり。
うそばかり。


だからあたしもウソをつく。
徹底的にヘタクソなウソを突き通す。

バレてるのは百も承知。
でも貫き通す。
それがルールなんでしょう?


ウソが大人のご挨拶なのを
最近大人の事がわかってきたあたしは
判ってきたから。


でもさ。
ホントは。
メンドクサイ。


ウソを吐くのがメンドクサイ。
ウソを吐かれるのがメンドクサイ。

その時間も、活字も、空間も、存在でさえ。

本当に驚きなのは
よくそんな素敵な言葉で飾り立てて
ウソを吐けるという事。

言葉が素敵でオシャレ過ぎるから
余計に悲しく浮き立つ無機質なウソ。


真っ白なレースに付いたカレーのような小汚さw


何となく感じているのは
言葉を上手に操る事ほど
胡散臭い事はないという事。

上手に操るその様を
多くの人の目に晒す事ほど
愚かな事はないという事。

きっと魅力的な心ほど
きっと言葉を持たない。

きっと実直な素直さほど
きっと強さを持たない。


多くの言葉は、必ず誰かを傷つけるから。
ウソもホントもどっちでも。


判らなくていい。
気付かれなくていい。

そっとそこにあればいい。
確かに持っていればいい。

それが本当の心の言葉。


ウソを吐かない強さが欲しい。
ホントも言わない賢さが欲しい。

誰も傷つけない言葉が欲しい。







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2007年12月15日

消えればいいのに。


身体ばっかりが母になって行く中、心の何一つが母になる
準備も出来てないで。

中途半端に母になることを楽しんでみたり。
中途半端にダメ人間だったり。

後々の事を考えたら止めればいい、
後々これで苦しむ事を判っていながら、
それでも日々に負け行く自分。

刹那的に黒星を記し続ける自分。

完璧を求めれば求めるほど、真っ黒になりたい衝動。



この厭世感は何でしょう?
この不安は何でしょう?
この不満は何でしょう?
この劣等感は何でしょう?


一体どうだったら全てが解消されるって言うんでしょう?


こんな時にまだこんな事を考えている私なんて消えてしまえばいい。
この何ともいえない焦燥感と共に焼けてしまえばいい。


どうしてこんなに人に影響されるんだろう。
どうしてこんなに人と交わる事が鬱陶しいんだろう。
どうしてこんなに人が怖いんだろう。
それなのにどうしてこんなに人と相互理解を求めているんだろう。


矛盾。


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2007年11月23日

独り言。

手放した。

手放してしまえたんだ、と最近立ち返っては

自覚する。

長らく私を構成する大部分だった物。

「それがあたし」っていう物。

それが何かを説明するのはとっても難しい。

一言で言えてしまえる、一言じゃ片付かない感情。

長らく「ウツ」だった。

最初はひどかった。

だけど徐々に時間と共に「病状」としては回復。

「完治」だと医者から言われても、

一向に振り切る事が出来なかった。

薬を止めるのも、治ったと受け入れるのも恐かった。

どこまでも追いかけて来るんじゃないかと、恐かった。

すんなりと治ってしまうのが恐かった。

再発するのも恐かったし、治った後の残骸のような自分が恐かった。

どこまでもどこまでも。

怖い物だらけだった。

考えてみたら、ウツになって自分を失う前までは

ずっと漠然と「不安」だった。

未来が不安だった。

未来が見えなくて不安すぎて、それが恐かった。

恋人を愛しすぎる自分が恐かった。

だから無茶を沢山した。

全てをぶち壊してしまいたい衝動に駆られて。

今よりも失う事が恐くて仕方なかったくせに。

その不安を打ち消す要素の1つである「結婚」をしても。

その先の未来がさらに漠然としていて。

結婚の後の順序を順序良く実行する事も、

それが不可能なんだとしても恐くて。

ただただ抗った。

家庭の外に自分を求める気持ちが強くて、

仕事、友達、失った恋、それらを強く大事にしてた。

「私はこれから一体何処へ行くんだろう」

学生の時も、独身の時も、結婚してからは尚更。

自分の行方が、未来が不安だった。

結局それは一括りにするならば「執着」。

心、身体、経験、思い出、感情、思想、それらを持つ自分が

可愛くて仕方なくて、握力の限り、持てる限り握り締めてた。

その力の強さが、すなわち不安と比例するのに。

知らないでいた。

持ち物が多い、離さない自分が大好きだった。

知らないでいたから。

ずっとずっと螺旋のような理不尽だと思う苦しみを一緒に持ってた。

好きな人や物や思想が多すぎる私は、大半から見放されていった。

見放したんじゃない。

「見放された」

だってそうでしょう。

握り締めて離さないという事は、その手に握られるのは

不変の物でなくてはいけない。

人間はおろか、環境、持ち物、とにかく色々失った。

失う事を悲しんだ。

自分の所為で、他人の所為で、それを嘆いて怨んだ。

失う時には必ず心の傷を伴った。

それでも強く願っていた。

知らなくとも、強く強く願っていた。

「いつかは何事も受け入れられる強さが欲しい」って。

今、その片鱗らしき物がこの手の中にある。

気付いて、認めて、それらを受け入れたら、

緩んだ手の中に、ある時突然そっと置かれていた。

今まで色んな物を棄ててきた。

涙と、奥歯を噛み締めるような激しい感情と一緒に。

だけど棄てても手の中には何も残らなかった。

手の中に置かれていた、これ。

私のお腹の赤ちゃんと一緒に、天からの授かり物だったんだと思いたい。

ただ、これも私を構築する1つでしかない。

与えられた物だけれど、握り締める為の物ではない。

色んな物に触れる為の1つの拠り所。

月日と共に何もかもが変る。

不変な物など1つもない。

どれもが必然と偶然とが織り上げる波の狭間に在る。

それを自然に抗う事無く受け入れたらいい。

流れゆく波に任せて、その時々に出会う物に触れ合ったらいい。

色んな物に出会うだろう。

嬉しいものにも、悲しいものにも、辛いものにも、感動するものにも。

どれもがきっかけの1つでしかない。

大事にする事だ。

感謝する事だ。

だけど時が来たら、潔く手放す事だ。

棄てちゃいけない。

手放すんだ。

そしてその全てを、心を空にして、優しい笑顔だけで渡る事だ。

最初から何も感情を持ってはいけない。

最初から何も表現してはいけない。

だって、握り締めてた頃から比べたら圧倒的に出会いが多いから。

その出会いは、今まで選り好みして必然的に引いてきた物達ほど

思い通りには行かないはずだから。

触れた時に初めて自分の心を重ねて、感情を持てばいい。

そして手放す時に初めて、感想を持って思想にしていけばいい。

表現はもっと後の話だ。

人に発信する表現は怖い。

その時だけの感情を、人の心に刻むから。

表現は慎重に、時と場所と相手を考えていかなくちゃいけない。

だけど同時に、想いを言葉にする事はとても貴重な事だ。

だから基本、自分の思想の表現は独り言でいい。

もしそっと聞いてくれる人がいてくれたら、それはとっても幸せな事だ。

多くの触れ合う人は、私の心の声を望んでなんかいない。

それが判って最近、「表現を発信する事」がそんなに大事だとは思えない。

だから私の声は、耳を澄まさなきゃ聞こえない程度の声でいい。

だってそんなに重要な事じゃないから。

私のすべき事。

これからはもう主役じゃないから、次世代を育むお手伝い。

そして同じ時間を生きる大事な家族、大事な人達と多くを共にする事。

共にするにあたって、その人たちの為にできる限り良く生きる自分で居る事。

「幸せだ」とお互いに思える為の媒介を多く持つ自分で在る事。

私の生きる意味。

多くの「出会い」「気付き」、そして「終わり」「別れ」

に出会う為。

それは自分自身とも。

「死」という当たり前にある別れの時の為に生きる。

静かに今こう思う自分が、あと何年か後に何を言ってるか、

それが楽しみ。

もう未来に怯えない。

だって未来にあるのは、色んな出会いと、それらがいつか終るって

事だけだから。

色んな出会いと別れ、始まりと終わりでまた私は磨かれる。

そして幸せな事に終る、別つと判っているからこそ、ベストを尽くして

「良く」と強く願う心を持っていられる。

終わる時の為に生きよう。

何を恐がることがあるだろう。

全ては終る時の為に、生きてるが故の出来事だから。

それでも色々ぶつかる。

きっとまた何かに囚われる。

それもまた、生きてるが故。

でも触れたらいい。

そんな時はそんな自分の中身にそっと触れたらいい。

そしたらきっと、ぐっと力の入っている手をほぐして

開いてあげられる。

「これ、要らないよ」とそっと取り上げてあげられる。

取捨選択は、きっと導かれる。

「良く生きたい」と思う意志と、大事な人達に囲まれた自分の心が

指し示してくれる。

それを信じて疑わない事だ。

生きたい方へ、力を抜いて生きたらよかったんだね。

それだけの事だった。

http://livedoor.blogimg.jp/suilove9214/imgs/9/7/972fd1d6.jpg"



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2007年11月01日

もにょもにょ。

最近にこサンがお腹で動くのが判る。

もにょもにょぽこぽこ。

リラックスした時間に活動的になるみたい。

もうそんなに大きくなったんだ。

私が判るくらいに。


今も。もにょり。




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2007年09月27日

どうしてさ。

何でなのさ。
すんごく側にいるんだよ。
でも会わないもの。
タイミングがいつも合わないの。


気付かないんだね。
今側を通ったわけだけど。
車、目立ちすぎ。
目障りなのよ、嬉しくて。


どうしてカチ会わないか、判ってる。


っていうかさ、知ってるんだよ、あたし。
キミが何してるか。
誰に恋してるのか。
知らないとでも思ってんの?


万が一だけど、今さ、
バッタリ会ってもどうせよそよそしくするんでしょ。
何となく判ってる。
でもそのよそよそしさ、壊すから、絶対。


だから吐けばいいよ、キミの今の恋の事でも。
笑って言ってあげるから。
「ばかだね」って。
ホントは泣きたいなんて、絶対教えないけど。


でもさ、泣きそうな心に気付く事が出来たら、
出来たんだとしたら。


ホステスの娘を愛したキミはどうするんだろうね。


お腹が大きいあたしはどうするか判んないよ。


笑って「じゃ」なんつって、
振り返りもせずに離れていくのだろうか。
それともこの現実に、
後悔して泣いたりするのだろうか。


気付いて欲しい。
でも気付かれたらムカつく。
ムカつくから気付くな。
でも気付かれなくてもムカつく。


どっちにしても、アンタにイライラするわ。
バカやってるアンタが気になる自分にムカつく。


いつになったら忘れられるかな?
いっそ思いっきりバカやって呆れさせてよ。
そしたらキライになってみるからさ。
「バカはキライ」なんて文句でもつけて。


もうハサミで切っちゃおうか?
自然じゃ切れないもの。
いつまでもいつまでも。
だってアンタもあたしも想ってるから。


それだけで繋がってる2人だから、あたし達。


それでも繋がっていたい?
あたしは。
あたしは。











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2007年03月19日

カルマ。

0d1dc731.jpg

ある人に読んで欲しかった。
あたしの人生で一番最大の汚点を作った恋愛。

それをこれからつぶさに、ここに書き記そうと思う。

これを読んでどう思われるだろう??

大した事ないかな??
それか、ヨゴレだと思われるかな??

でもそれも含めて今の「あたし」がいるのだから、
どう思われても否定しない。

これが「あたし」だ。




これから書く前に1つ注釈がある。
うちの主人はこの事を知っている。

付き合う前、多分付き合う事になるだろう時に
告白した。

「実はあたし、こういう過去があります」と。

そしたら、うちの主人は、
「過去は気にしない。大事なのはこれから」
と言ってくれた。

隠す事もできただろう。
だけど隠して、付き合う事になり、万が一結婚する事に
なった時、それじゃ詐欺だと思った。

人の口に戸は立てられない。

他人の口からその事実を聞かされる事に、万が一
なった時、ショックをきっと受けるだろう。

ウソを付き、ヒミツを持つあたしに。
その事実如何よりも。

それだけは避けたかった。
それで、大事な人を失ったのだから。


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主人と結婚する1年前まで、3年と3ヶ月と3日
付き合った人が居た。

出会いは会社の同僚づてだった。
当時失恋して、凹んでたあたしを見かねて、彼を紹介する為の合コンを
してくれたのだった。

あたしは一目惚れはしない。

だけど、出会った時から運命めいたものを感じてた。
性格や好みに共通点も多かった。
車が好きな事を初め、色々な生活状況やその価値観やスタイル。

その紹介の場から電話番号を交換したけど、
かけれずに居た。

だけどバッタリ逢うんだ。

家が近かったせいもあるけど、3日連続で偶然逢った。

それから、自然と2人で遊ぶようになり、
一週間連続で仕事の後、2人で一緒にいた。
朝まで語り明かした。

ある時、私の同僚と、その彼氏(彼の昔からの親友)と4人で
お祭に行こうという事になって、一緒に行った。

人の群れではぐれそうになるあたしを、彼は自然と
手を繋いではぐれないように、人の間をすり抜けた。

繋いだ手のぬくもり、初めてだったけどイヤじゃなかった。

あたしは人と触れ合うのを嫌う傾向がある。
手を握るとか、異性で他人同士だと死ぬほどイヤだ。

だけどイヤじゃなかった。

そして花火を皆で並んで見た。
打ちあがる花火。
キレイ。
だけどちょっと後ろから視線を感じてた。

振り返ると、彼は花火じゃなくあたしを見てた。
微笑みながら、優しい目をして。

胸が高鳴った。


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それから何度か逢った。
その日は、夜景を見に展望台に行ってた。

その日は決めてた。
失恋したばっかで不謹慎なのは承知だったけど、
自分の気持ちにウソは付けない。

あたし、この人が好きだ。
この人はあたしの運命の人だ。

この気持ち、伝えようと思った。
一笑に付される事も覚悟に入れて。

シートを軽く倒して、彼は煙草をくゆらせてた。
あたしはその煙草が終わるタイミングを、
ドキドキを抑えながら待ってた。

自分も煙草吸いながら。

細く開けた窓から、自分の煙が出て行くのが
しきりと気になった。

彼の煙草が終わると同時に、あたしも煙草を消した。

そして「あのさー…」とわざとアンニュイに
シートを倒して切り出した。

彼も同じくシートを倒した。
聞こうと、あたしを見てる。

あたしは車の天井を眺めながら、話し始めた。

「あたしさー、別れたばっかりじゃん??
 それで、こんな事言うの信じてもらえないかも
 しれないんだけどさー…」

彼はこっちを見ていたけど、私は見なかった。

「…。」

しばらく黙った。
彼は待った。

そして彼の方を向いてきちんと言った。

「あたし、好きになっちゃったよ…」
マジ顔で言った。

その時、彼は更に押し黙った。

「…。」

(あぁ、軽薄な女だと思ってるのかな…)

死にそうだった。その沈黙。

だけど次の瞬間に彼はトンでもない事をあたしに
言ってくれた。

「…俺はもう愛してる。最初っから愛してた」


…ウソだ…。


生まれて初めて、「愛してる」って言われた。
好きな人に。
ずっとずっと夢だった。
その言葉を彼はくれた。
目を離さずに、真面目な顔して。

まるでパズルのピースがピタリと合う
カンジがした。

この人だ…。

シートの右と左。
手を繋いで、おでこをくっつけて2人で微笑んで
それからキスした。
何度も何度も、ずっと合えなかった恋人同士みたいに。



+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:


それから、毎日一緒に居た。
仕事終わってから、一日も欠かすことなく毎日。
段々馴れ合いにもなっていった。
ケンカもしたりした。

だけど楽しかった。

居場所がないからいつも車の中。

好きな音楽を聴いて、2人で熱唱して、話して。
一緒にいらられればどこでもよかったんだ。


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付き合って数ヶ月してから、彼の両親に紹介された。
「いずれ結婚するつもりだから」
と、彼は躊躇なく両親に言った。

仲良くなれるように、自宅に遊びに行っては少しずつ
挨拶したり、話しかけたり、お土産を持って行ったりして
少しずつ距離が縮まり、段々家族みたくお付き合いできる
ようになっていった。

最終的にはお嫁さんと同じ扱いを受けるくらいにまで
仲良くなれたし、親戚ともホントに仲良くして頂けた。


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付き合って2年が過ぎた頃から焦りだした。
「結婚」について。

彼は電気工をやっていて、日雇いの仕事だったから
給料はおろか、福利厚生のしっかりした「会社」に属して
なかった為、どれもが不安定だった。

あたしは「結婚したい」と、せっつくようになってた。
その度彼は、「今は車のローン払うので精一杯だ」
「お金さえあればいつだって、結婚する気持ちはあるよ」
と口癖のように言ってた。

あと5年。

その頃のあたしは、彼無しの人生なんて考えられないくらい
彼にどっぷりハマッてた。
彼を心から愛してたし、彼もあたしを心から愛してくれてた。

早く彼の姓を名乗りたかった。
早く彼の奥さんになりたかった。
早く彼の子供が欲しかった。
早く全てを共にしたかった。

苦労はいとわないつもりだった。

だけど、「お金」に邪魔されて一緒になれない。
それがあたしはじれったくて仕方なかった。

式を挙げる事を希望してる訳じゃない。
新居を贅沢言ってる訳じゃない。

本気なら「婚姻届」に名前を書く事に、何の躊躇いがあるの??
と思ってた。
自分も仕事してたし、2人で一緒で何とかなる、
そう思ってた。
実際そうして生活してる友達もいたし。
だけど彼は結婚に関しては積極的じゃなかった。

とにかくじれったかった。
とにかく「お金」なんだなって思った。
正直彼と一緒にいて、デート代は殆どあたしが
持ってた。
それくらい、彼にはお金がなかった。

何故か??

車だった。
彼の念願でやっと手に入れた車だった。
そのローンとガソリン代の下敷きになってて、
一切お小遣いが残らない状態。

だけど彼は車は手放さないと言って、ガンと譲らなかった。
だからあたしは普通乗用だったのを軽四に変えた。
経費削減の為。
彼のぶんまでデート代を賄っても、余裕を持たせる為。

「お金」「車」

あたしは彼に内緒である決心をした。
一番自分の中では、嫌ってた商売。
一番自分の中で、許せない行為。
だけど、一緒になる為にはこれしかない。
彼の経済を支えなきゃ、その先に進めない。
そう思った。

捨ててはいけないプライドを捨てる事にした。
身を落とす決心をした。


それならあたしが作る。
その「お金」。



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そこは繁華街。
角々には、客引きの男が立ってる。
あるビルにこっそり入る。
そして、どっピンクのミニスカートにジャケットの制服に
袖を通す。
客が来るまで待機室で待つ。
他の女の子も一緒。

お客さんが来たら、暗い部屋のカーテンでしか仕切ってない
部屋に入り、ひとしきり世間話をしたら始まる。

わざとらしい制服を脱いで、脱がせて、
お客さんの好きにさせる。
そして抜く。

風俗。

延長を狙って、わざと長々たらたらひっぱったりして
売り上げを稼ぐ。

知らない男に汚されていく。
彼が愛してくれた身体を。


――――――罪悪感。


だけどそこは数字の世界。
汚れようと、罪悪感だろうと、関係ない。
何人相手して、どれだけ財布を開かせるかの世界。

一人相手する度、服を脱いで、下着を脱ぐ度、麻痺していく。
自分の心が死んでいく。

誰も知らない所で、あたしがこんな事をしてる。
帰り道毎日泣いた。

気持ち悪くて中座、中止する事もあった。

だけど慣れって恐い。
お客さんから金をもぎ取る為に、演技も仕事も
向上していく。
何かが壊れながら。

そして一人相手する度に、相手に汚された場所を
濡れティッシュで拭えば
キレイになったと信じ込む自分。
そう思わないとやってられない世界、仕事。

あたしの頭の中には最早「お金」しかなかった。

彼には、「夜中の事務仕事」とウソを付いて。

何がホントで何がウソなのか、最早解らなくなってた。

自分で信じてた信念が、どんどんいかがわしいネオンと
見知らぬ男達の前に崩れゆく。


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風俗で働き出して2ヶ月。

もう、最初の頃みたいに、客一人相手しては泣いたりしない。
あしらいも、いなし方もお手のものだった。

もう立派な風俗嬢だった。

だけどいつまで経っても罪悪感だけは拭えなかった。

彼と逢う時にもそれは現れた。
彼と段々、セックスできなくなっていった。
不感症。

適当に「疲れてるから」と誤魔化したりしてたけど、
ダメだった。
抱かれてる時も涙が止まらなかった。
彼が愛してくれればくれるほど、胸が痛くて
涙しか出なかった。
彼にでさえ、演技で誤魔化した事もあった。

もう、何かが壊れてる。
心が、身体が悲鳴をあげている。

そんなの知ってた。
でも自分で見て見ないふりをした。
だって、彼と結婚したいから。

だけど思うようにお金は貯まらなかった。
売り上げが思わしくない。
お客さんが少なすぎる。
そりゃそうだ。
そんなに甘い世界じゃない。

荒稼ぎなんてできるわけがない。


+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:



段々痩せていった。
段々おかしくなっていった。
段々病弱になっていってた。
入院もしたりしたし。


ホントはもう限界だった。
ホントは思ってた。
早く気付いて、と。
あたし、悪い事してるの、気付いて…って。


そして彼に遂にバレた。
気付かないわけないよね。
精神科にも掛かってたし。(彼は知らなかったはずだけど)

でも本当は彼にバレるようたった一つ、仕掛けをした。

初めて彼は泣いた。
どうしてそんな仕事をしてたのか理由を聞いて。
「俺って一体なんなんだよ…」

謝るしかできなかった。
泣きながら2人で、
「何でだよ…」「ごめんね…」
の繰り返しだった。

許しを請うしかなかった。
私が「愛してる心」は誰のものでもない、彼のもの。
心は裏切ってないつもりだけど、これは裏切り行為だ。
彼の男としてのプライドをズタボロにした。
彼女として、というより、人として最低の事をしたんだ。
彼の仕事じゃなく、人格を否定した。
愛するべき人を信じてなかった。

最低だ…。

その時初めて、捨ててはいけない物があった事を知った。
「愛する人を信じる」そのことを軽んじてた。
馬鹿だ。あたし。
普通の人が簡単に捨てないのは、捨ててはいけないから。
どうして事後にならないと判らなかったんだろう…。

死ぬほど愛してたはずなのに…。
一緒になりたい、それだけなのに…。

そして別れる事はなかったけど、条件として
今の仕事を辞める事、そして次に就いた仕事は辞めない事を
約束した。

彼は許してくれた…。…のだと思ってた。

結局、大きな裏切りをしたくせに目標金額を果たせないまま、
辞め時が来た。


ただ、裏切っただけ。
そしてはした金。

結果、残ったのはそれだけ。


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そして歯科助手の仕事をすぐに見つけ、昼のバイトも辞め
夜の仕事から足を洗った。

昼間に働く当たり前さが新鮮だった。
だけど、心に残った自分で作った傷は治るべくもなく、
しばらくこっそり精神科に通ってた。

仕事が決まった時に決めた。
約束した。

「絶対辞めない」と。

それからは、昼の仕事に専念し、彼とも付き合いが続いてた。
仲良くやってたし、以前と変わらないように一見見えた。
普通に今まで通り愛し合ってる2人だった、はずだった。

だけど彼はあたしを信用してないのも垣間見えてた。
「結婚」をせっつくような真似は最早、
あたしの口から言えなかった。

だから余計に一生懸命仕事に励んだ。

でもずれた歯車は、ケンカを産みやすかった。
事ある毎に、将来の事でケンカした。
あたしは、
「あそこまでしたのは、愛してる貴方と結婚したかったからだよ」
彼は、
「お前が愛してくれてるのはわかるけど、俺も愛してるけど
 何しでかすか解らないのが恐い。信用できない」

その頃から、彼も長期出張で地元に何週間も居ない事が多かった。
それがケンカにならない理由になって、かえって良かった。

彼の出張先に会いに行ったりしてた。
旭川。車で。
その時は彼も嬉しかったみたいで、朝まで付き合い始めみたく
新鮮に一緒にいた。

だけどカウントダウンは始まってた。

壊れた原因を断ちたいあたしの心と、離れたくないあたしの心。
裏切ったあたしの罪悪感と、ここまでさせたって思ってるあたしの責める心。
諦めと期待。
憎しみと愛情。

彼を愛して、一緒にいたい反面、羽をもぎ取られて飛べない蝶
になってる自分を実感してた。

薔薇色の鎖で繋がれているよう。

その鎖は決して「彼女」の域を超える事はない。
もぎ取られて飛べないのを望む心は、
彼と愛し合う心と反比例してきている。

鎖も重たい。

愛しすぎてもダメなんだ。
最早あたしの愛は「結婚」への業でしかなかった。
彼自身を見てなかった。

自由になりたい。
あたしの結婚願望を否定する彼に疲れた。

それが本音だった。
あたしが勝手にジタバタしたくせに。

彼と一緒に重ねる平坦な年月が、何にも意味を成さない物のように
感じてきていた。

彼に対して、不信感が拭えなかった。
だって彼から「結婚」の具体的な話が何年経ってもないから。
段々彼の身内、両親の方がせっつくようにもなってた。
それもうっとおしかった。

だけどそんな事を思う自分がイヤで、彼にはことに優しく接した。

エイズ検査もした。彼にはばれない様にこっそり。
結果あたしは、運命から許された。

心はいつまでも何ヶ月も不安定なままだった。
不信感。
それ以外では彼は以前と変わらず、あたしと一緒に居て愛してくれた。

「お金で幸せは買えない」そうは言うけど。
だけどお金で潤う幸せがある。
殆どの幸せが実は、お金で買えたりする。
それが現実。

そう、思ってた。
考えないようにしてたけど。

それがない彼が、じれったくてじれったくて仕方なかった。

周りはどんどん、そんなに沢山のお金を持たなくても、
結婚していく。

お金が無くたって結婚できるじゃん。
そんなに沢山なくたってできるじゃん。

焦燥感。敗北感。妬ましかった。我慢できないほど。

そして彼の私への信頼回復したいが為に、
とにかく躍起になって仕事に打ち込んだ。

ある時衝動的に、携帯電話を真っ二つに折って壊した。
解約した。
誰とも、彼以外あたしが連絡が取れないように。
あたしがまた、他の人の影響で動揺しないために。

あたしがあたしとして、彼と向き合う為に。

無口になっていった。
笑わなくなっていった。
彼の居る場所以外では。

そして何も望むまいと思った。
望めば遠ざかる。
望めばがっかりする。
だから、ただ、彼と一緒に居ることを考える事にした。

望んで喜ぶ人はいない。
望めば望むほど苦しむ人がいる。

だから「結婚」と言うものを、あたしの心の中で、
がっちり梱包かけて、奥底にしまいこんだ。

だけどすぐそれは焦燥へと変わる。
あふれ出て、梱包したのにはみ出す。

その繰り返しで、ずっと苦しんでた。
ずっとずっと。
言えない。
「結婚して」なんて。
毎日が心の中が地獄のようだった。


どうして結婚したいって、こんなに愛し合ってるのに
できないのかな…??

どうして…?


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そんな心に変化が生まれた。
「どっちでもいいや」

そう思うようになった。
「結婚してもしなくても、どっちでもいいや」

そして一緒にいて、凄く大切な筈なのに、失った時のような
虚脱感に襲われるようになった。

抱かれてる時も人形のようだった。

これは何なんだろう??

愛情が欲しいのに、彼の愛情に無頓着。
上の空。
「愛してる」と言われてもリアリティーがない。
「は? 誰が誰を?? あ、あたし?? あぁどうも」
みたいな。

無機質に心に届く。

だから「愛してるの??」って聞かれて、
「愛してるよ」
って応えるのも、すごく違和感があった。

とにかく、心がすれ違い始めてた。
あたしの心の中に、醒め行くものを感じてた。
愛してるけど、一部凍結。

そして昔からだけど、彼はお金にだらしないっていうか、
お金で甘えるクセがあった。

それが最近頻繁に続いたことも辟易してた。

とにかく自分の正体がなかった。
自分がどこにいるのか、自分がどうしたいのか、自分が何なのか
判らなくなってた。

結婚、結婚、結婚。

こだわり続けたけど、それが実現したとして、その後何があるの??
何か残るの??
そこから先、どうするの?? どうしたいの??
今と何が違うの??

でも心は願ってる。
「この人と一緒になりたい」って。

でも何か違う。
あたしが欲しいのはこれじゃない。

もう待たせないで。3年。
もう手をさし伸ばして。
待ってばっかりはもう、疲れた。
待ちぼうけはもうイヤだ。

あたしそんなに贅沢言ってない。
あたしそんなに高望みしてない。

自然の事を言ってるだけなのに。


どうしてあたしの背中は、いつも重たいんだろう…。
どうしてあたしの心は、がんじがらめなんだろう…。

どうしてあたしはこんなに、結婚したいんだろう…。

「しっかりしてよ」
なんて、言えない。

あたしがしっかりしなきゃなんだ。



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ある時、車の中でケンカになった。

あたしもひどい事言った。
だけど彼も売り言葉に買い言葉で、

「お前なんかもういらねぇよ」

って言われた。


それで糸が切れた。


強引に車で家まで送ってもらって、
「もういらないだなんて、絶対言っちゃいけない言葉言ったよね」
「別れよう。さようなら」
 

あたしが一方的に言ってケンカ別れした。
その日は。


何日か経って、彼と冷静に話した。
あたしの気持ちは変わらなかった。

この人と一緒にいても、何も生まれない。
この人の為になれない。
自分の為にならない。
重たいだけだ。
つらいだけだ。

これ以上、もう…。

あたしはもう疲れきってた。
3年の月日に。その中身に。
そして、「結婚」への自分の業の強さに。
そして、彼との「結婚」に対する温度差に。


「どうしても別れるのか?」
って彼が聞いてきた。

「もう決めたことだから…」
って応えた。

そして最後に抱っこして、ってお願いした。

今でも忘れない。
髪の感触、彼の匂い。頬の感触。髪を撫でる感触。手の大きさ。

お互い泣きながら謝り合った。
「幸せにできなくてごめん」
って。

強く抱き合いながら。

そして彼は、最後に言葉をくれた。
「自分に負けるなよ」
って。

その時見透かされた気がした。
彼はあたしの事、全部お見通しだったんだと、そんな気がした。

涙が出た。
うなづいた。

そして本当に別れた。

「業」から放たれ、独りになった。
その自由を不自由な自由だと感じながら。



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それからあたしは、仕事だけは大事にした。

自分の、「自分に負けない」という約束を実行したと
思える時期まで辞めないと決めたんだ。

彼を裏切った仕事で、応えたかった。
そして見返したかった。


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彼と別れて、一年後、今の主人と結婚した。
色々あるけど、何とか幸せ。
結婚って甘くないわ、やっぱ。ww
してみてわかったけどね。
今の主人とだから上手くいってるのかもしれない。
惚れた、腫れたじゃ、結婚生活、なかなか難しいもの。
主人とは平坦で適度な温度を保ちながら、心地いい恋愛の末
結婚を選んだ。
主人はすんなり結婚を具体化してくれた。


ウツになっちゃったけど、これも自分の試練。
「自分に負けるな」。
うん。
いつかきっと克服してみせる。
ね。

主人は一番大事な私の人生の伴侶。
彼は一番人生の中で愛した人。
これ以上の人なんて、私には過去にも未来にもいない。
その事実は主人には内緒だ。


「業=カルマ」

愛しすぎた。
愛してるだけじゃダメだったんだ…。
熱すぎてもダメだった。

保温を保てたら一緒に居れたのにね。
愛しすぎちゃったよ…。
だからね、「業」にとりつかれちゃったよ。

彼と過ごした時間、忘れない。
忘れられない。
未だに。
だって、未だに愛してるから…。
ホントは心のすごく奥の宝箱の中で。


mukasi















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